軍隊における階級呼称一覧 wikipedia|無料辞書
軍隊における階級呼称一覧
軍隊の
階級(かいきゅう)とは、軍事組織における上下関係と指揮系統の格付け制度である。
軍事組織において、階級の使用は全世界で行われている。中国人民解放軍(
1965年〜
1988年)、アルバニア軍(
1970年〜
1991年)、及びソビエト赤軍(
1918年〜
1935年)は階級を廃止したまれな例である。但し、いずれの場合も「階級無くして軍隊は成立し得ず」という法則から逃れる事はできず、階級制度を復活させている。
軍隊における階級は、その軍隊の歴史と密接な関係がある。ヨーロッパ諸国の陸海軍において階級は職名と同一であった事から、海軍とその他の軍での階級名は大きく異なる場合が多い。
旧日本軍の階級呼称は
1870年(明治3年)の
太政官布達第604号で
律令制下の
四等官に倣って
兵部省に設けられた陸海軍大将から陸海軍權曹長までの11等級を起源とする。これらは
1873年(明治6年)の太政官布達第154号による官等表改正で軍人の階級呼称として引き続き用いられ、西欧近代軍の階級呼称を和訳する際にも当てはめられた。なお、旧日本陸軍の階級は当初フランス式の軍制を採用していたが、
1886年(明治19年)頃からドイツ式の軍制に転換した。一方、旧日本海軍は当初から英国式の軍制を導入していた。
-->
◆ 現代の階級
ほとんどの現代の軍隊では階級を大きく三種類に区別している。それらは
ジュネーヴ諸条約 (1949年)で、いくぶん曖昧な区分「士官」、「下士官」及び「兵」として区別されている。
以下に個別の詳細を示す。
◇ 士官
士官は、職権の保持によって、他の軍人から区別される。士官は指導者や指揮権保持者として訓練される。
士官はさらに「将官」、「佐官」、「尉官」の三段階に分けられる。
将官
将官の階級は、典型的には大将、中将、少将及び准将が含まれる。
いくつかの軍では、元帥のように、別の肩書きを付与された上記の例より上位の階級が一つ以上ある場合がある。
それらの階級はしばしば、
ドイツや
カナダのように廃止されたり、あるいは
英国や
米国のように戦時や名誉昇任に制限されたりすることがある。
いくつかの肩書きは純粋には階級ではなく、将軍の職務や、名誉的な肩書きである。
実例をあげると、
フランス陸軍では、陸軍中将(軍団の将軍: -->)は陸軍少将(師団の将軍: -->)の職務である、またフランス元帥 ( -->) は最高司令部の官職に由来するが、フランス元帥に授与された実務上の指揮権はしばしば失われた。
佐官
佐官は、単独で短期間の作戦を実施できることが期待される典型的な部隊(
大隊及び
連隊、大型
軍艦、飛行戦隊)を指揮する上級士官である。佐官は一般的には
参謀の職務もつとめる。
典型的な佐官の階級には大佐、中佐、少佐が含まれる。多くの英連邦の国では、最上級の佐官( -->) が旅団長 をつとめる。准将 ( -->) がその職務をつとめる国もある。
いくつかの国の海軍では、
代将 ( -->) の階級も使用される。
日本の律令官制では、「佐(サ/スケ)」は、「大将」の下位、「中将・少将」と同等の武官であったため(詳細は
近衛府を参照)、平均すると「将」の下位という事でこの字が充てられたのであろうと思われるが、文字通り「補佐」の意味であり、参謀ならともかく、部隊指揮官の階級としては違和感がある。そのため中国などでは、「佐」ではなくて「校」の字が充てられている。
尉官
尉官の階級は3つか4つの最下級士官の階級である。配下の部隊は、単独で長時間の作戦を実施することを一般的には期待されていない。いくつかの部隊では尉官も参謀の役割をつとめる。
典型的な尉官の階級には大尉、中尉、少尉が含まれる。
◇ 准士官
准士官はそれぞれの国や軍種で扱われ方が少し異なる混合した階級である。准士官は、精鋭の上級下士官であったり、士官と下士官の間の完全に分離された格付けであったりする、通常は専門職の階級である。
◇ 下士官・兵
下士官・兵は士官や准士官の下の階級であり、軍人の大多数を構成する。
下士官
下士官は、士官の指揮の下で、他の軍の構成員を監督する代理権限を許可され重要な監督責任を負う。
ほとんどの上級下士官は尉官よりも軍歴の長いものが多く、上級下士官が公式にもつ責任と非公式に受ける敬意は尉官に勝るとも劣らない場合が多い。
いくつかの国では、准士官の階級は専門職に対する階級とし最も功績ある下士官に対する階級を下士官に留めおく場合もある(最先任最上級曹長など)。
下士官の階級は典型的にはかなり多くの格付けの曹長、軍曹と伍長(陸軍、海兵隊と空軍)、兵曹(海軍と沿岸警備隊)である。
米軍に顕著に見られるように、先進国、特に徴兵制を廃止した国では曹の人員が増える傾向にある。
・兵卒はいわば「捨て駒」であり、先進国の国民たる者には(たとえ軍人であっても)そのような任務を与えづらいため、ほぼ新兵しか兵卒となりえない
・戦争の近代化に伴い、兵器の操作も高度化し、(ある程度専門化した技術を持っている)下士官の果たす役割が大きい
・同じく兵器の高度化にともない省力化がなされ、兵卒の必要性が小さくなり、相対的に下士官が増加した(余談だが、極度に省力化を推進した旧ソ連の原子力潜水艦の場合、下士官すら必要なくなり、乗員は士官のみになるくらいであった)。
といった理由によるものと思われる。
兵
指揮権限がない
兵は通常は○○兵のような肩書きをもつ。いくつかの国や軍種では、異なる
兵科では肩書きも異なる。兵の階級には様々な格付けがあるかもしれないが、しかしそれらは通常は権限が増えるのではなく給与の変化を反映しているに過ぎない。これらが技術的に階級であるかどうかは、国や軍種による。
◆ 階級符号
◇ NATO 階級符号
北米と西欧の多国間軍事同盟である
北大西洋条約機構 (NATO) では、標準化合意書で「NATO 軍人階級符号」(the NATO codes for grades of military personnel) を制定している。標準化合意書の別表では加盟各国の軍隊の階級と NATO 階級符号との対応が定められている。
・ 士官:OF-1 から OF-10(昇順)。英語の Officers に由来する。
・ 見習士官:OF (D)。英語の Officers Designate に由来する。
・ 准士官:WO-1 から WO-5(昇順)。英語の Warrant Officers に由来する。
・ その他の階級:OR-1 から OR-9(昇順)。英語の Other Ranks に由来する。
NATO では OR-5 から OR-9 に含まれる階級は下士官とみなされるが、加盟各国の軍隊の下士官の範囲とは必ずしも一致しない。なお、一般的な制度における准士官は上級の下士官として「その他の階級」に含まれるが、ギリシャ軍、イタリア軍、ポーランド軍、ルーマニア軍及びアメリカ軍の准士官は、少尉と下士官の間の「士官」にも「その他の階級」にも含まれない別の階級であるため、階級符号も別に設けられている。
◇ アメリカ軍給与等級
アメリカ軍では軍人の基本給と階級の対応付けに使用する連邦政府規準として給与等級 (pay grade) を定めている。この給与等級はアメリカ合衆国連邦政府における職階制給与制度に含まれる。
・ 士官:O-1 から O-11(昇順)。英語の Officers に由来する。O-1 と O-2 は NATO 階級符号の OF-1 に、O-3 以上はそれぞれ NATO 階級符号 OF-2 以上に相当する。
・ 准士官:W-1 から W-5(昇順)。英語の Warrant Officers に由来する。W-1 から W-5 はそれぞれ NATO 階級符号の WO-1 から WO-5 に相当する。
・ 下士官兵:E-1 から E-9(昇順)。英語の Enlisted personnel に由来する。E-1 から E-9 はそれぞれ NATO 階級符号の OR-1 から OR-9 に相当する。
アメリカ軍の下士官は E-4 以上に分類される。ただし、兵であっても E-4 以上に分類されることがある。
◆ 国際比較
◇ 元帥
軍全体の総司令官など。あるいは名誉階級。