絹(きぬ)は、
蚕の
繭からとった天然の
繊維。英語では
シルク(silk)。独特の光沢を持ち、古来より珍重されてきた。主成分は蚕が体内で作り出す
たんぱく質・
フィブロイン。蚕の繭から抽出された極細の糸を数本揃えて繰り糸の状態にしたままの絹糸を
生糸(きいと)ともいう。これに対して生糸を
アルカリ性の薬品(
石鹸・
灰汁・
曹達など)で精練して
セリシンという
膠質成分を取り除いてより光沢や柔軟さを富ませた絹糸を
練糸(ねりいと)と呼ぶ。また、
養殖して作る家蚕絹と野性の繭を使う
野蚕絹に分けられる。1個の繭から約800〜1,200mとれるため、天然繊維の中では唯一の長繊維である。
一方、他の地域では絹の製法が分らず、非常に古い時代から絹は中国から陸路でも海路でも
インド、
ペルシャ方面に輸出されていた。これが
シルクロード(絹の道)の始まりである。
紀元前1000年頃の
古代エジプト遺跡から中国絹の断片が発見されている。
古代ローマでも絹は上流階級の衣服として好まれ、紀元前1世紀にエジプトを占領すると絹の貿易を求めて海路インドに進出、その一部は中国に達した。だが、
ローマでは同量の
金と同じだけの価値があるとされた絹に対する批判も強く、
アウグストゥスが法令で全ての人間に絹製の衣類着用を禁じ、
マルクス・アウレリウス・アントニヌスは絹製の
ローブが欲しいという后の懇願を拒絶して模範を示したが、それでも絹着用の流行は留まることはなかった。