脳科学の道を志した松本は、
電子技術総合研究所において、まず
ヤリイカの人工飼育法の開発を始める。ヤリイカは神経細胞が大きく観察しやすい特色があるが、当時ヤリイカは生態・飼育法とも不明で、
コンラッド・ローレンツから「人工的な飼育が不可能な唯一の動物」とすら言われていた。松本は周囲が「狂ったのではないか」と言うほどヤリイカに情熱を傾け、3年の苦心の後、定常的に飼育する方法を発見した。
巨大神経細胞が豊富に得られるようになった松本のグループは次々と研究成果を挙げ、脳・神経科学の分野で世界的な業績を生み出した。電総研の地下にはヤリイカの水槽がいくつもあり、見学者に「色がきれいだろう」と紹介したり、イカ焼きパーティーでヤリイカを振る舞ったりした。