通常の学位は大学の教員ないし一定の社会的地位につく上での条件となる場合もあり、その表記方法は厳格であり、学位の詐称は
学歴詐称即ち
刑法第246条1項、2項の
詐欺罪に及び
軽犯罪法第1条15項の
官公職、
位階勲等、学位その他法令により定められた称号の詐称に該当し罰則の対象となる。学位は法的に保障された権威ある称号であるものの、その授受は国家など公的な機関を離れ、大学の裁量で行われるため、詐称も発生しやすい。自らの履歴において学位の取得を申告する場合、学位名称、専攻分野、授与機関名、学位番号を表記することが求められるのが原則である。
しかし、現実の社会では、学位に類似した称号であっても名誉博士など学位名称に何らかの名称を付記する場合、学位とは別の称号として認識されることから、学位に因んだ名称を持つ称号が多く創られ授受されてきた。正規の学位を授与する大学などでも学位に名誉と冠した名誉学位を創設し、顕彰を趣旨とした称号としてこれを定めおり、
政府や
地方公共団体また大学が主催するような
市民カレッジや民間の各種講座においても講座
修了の記念として
市民学士などの称号を授与する例は多い。こうした称号も授与機関名と称号名をともに名乗り、少なくとも学位とは別個の称号であると理解できる限りは呼称することに何の問題もない。要するに、学位の詐称は正式な学位名称を名乗り学位を取得したと錯覚、誤解させることにより発生するものであり、微妙な差異であっても学位と異なる称号を名乗ること自体、罪にはならない。実際に詐称となるか否かの基準はきわめて緩やかなものといえる。
こうした緩やかな慣行の隙間を縫うように、学位及び類似した称号を製造し、かつそれを金品と引き換えに授受したり斡旋する業者も存在しており、名誉学位に因んだ紛争は後をたたない。特に最も悪質なのは存在しない大学、またはその大学の学位をあたかも正真正銘の学位のように捏造して金銭と引き換えに授受する
ディプロマミルの例であるが、昨今では、法的規制のない名誉学位や或いは学位に特許と付記して学位や名誉学位とも異なる独自の称号を製造して販売する事業も存在しているのが実情である。なお、こうした称号を巡る紛争が時折、犯罪に抵触する事態も時折見られるが、その場合に称号の販売や購入した者がそれを称することが直接的な原因となることは少なく、その他の事由により取り締まられることが多い。
資格商法同様、
爵位や
学位その他法令により国の定める
資格や
称号を除いて民間の称号を取り締まる法律がない故に発生し得る問題といえる。また、正規の名誉学位であっても、特定の団体からの寄付により授受されることがあり、その団体代表が名誉学位を受ける例も存在している。