ベルは定番の協奏曲や協奏的作品に加えて、ニコラス・モーなどの新作協奏曲を演奏・録音してきたし、
シューマンなどの、めったに演奏されない協奏曲の再評価にも熱心であった。これは依然としてヨーロッパ中心的な欧米のクラシック音楽界において、独自の立場を確立しようと模索していたからであろう。1990年代後半になって、アメリカの作品を多く録音したいベルの意向と、経営難で専属アーティストを減らし、また確実に売れるレパートリーのリリースを余儀なくされていた
デッカの思惑が食い違い、ベルは
ソニー・クラシカルに移籍した。
アカデミー賞に輝いた映画「
レッド・ヴァイオリン」において、
ジョン・コリリアーノ作曲の映画音楽でソロ・パートを演奏している。また、2004年の
イギリス映画「
ラヴェンダーの咲く庭で」においても、ソロ・ヴァイオリン演奏を担当している。
元来、強いデフォルメのかかった自己主張の強いフレージングよりも、自然な音楽の流れを重視したフレージングを好み、繊細な音作りをしてきたが、近年、
チャイコフスキーの協奏曲などの演奏頻度の高い「名曲」に関しては、デフォルメの強いフレージングを取る傾向にある。また、若い頃から超絶技巧を売りにせずに活動してきたが、実際には正確無比な左手のテクニックと、多彩な音色を繰り出すボウイング技術を持っている。