イオン wikipedia|無料辞書
◆ イオンの種類
◇ 電荷による種類
陽イオン
電子を放出して正の電荷を帯びた原子、または原子団を陽イオン(ようイオン、positive ion)、あるいはカチオン (cation) と呼ぶ。金属イオンはすべて陽イオンである。
陰イオン
電子を受け取って負の電荷を帯びた原子、または原子団を
陰イオン(いんイオン、negative ion)あるいは
アニオン (anion) と呼ぶ。
ハロゲンはすべて陰イオンとなる。
気相のイオン
物理学、
化学物理学の分野では、
気相のイオンに対して、陽イオンの代わりに
正イオン(せいイオン、positive ion、カチオン)、陰イオンの代わりに
負イオン(ふイオン、negative ion、アニオン)が多く用いられる。
大気電気学では、気相のイオンを
大気イオン(たいきイオン、atmospheric ion)と呼ぶ。
「マイナスイオン」に関する注意
マイナスイオンという用語は、1922年に空気中の陰イオンの訳語として紹介された
和製英語である
[西川義方、西川一郎『内科診療の実際』南山堂、1922年(絶版)。([外部リンク] 書籍情報)]。一部では負イオン(負の大気イオン)の意味でマイナスイオンが使われる場合があり、2002年前後を中心に国内の学会で日本の多くの研究者が使用した実態があった。流行語にもなったが、この文脈では定まった科学的定義がないために科学用語として認められないとする批判がある。
◇ 構成による種類
単原子イオン
一つの原子からなるイオン
多原子イオン
複数の原子団からなるイオン
錯イオン
電子を放出したり、受け取ったりして正または負の電荷を帯びた
錯体を
錯イオン(さくイオン、complex ion)と呼ぶ。
クラスターイオン
電荷を帯びた
クラスターを
クラスターイオン(cluster ion)と呼ぶ。
◆イオンの表し方
化学式の右肩に価数を記す。ただし、1価の場合は符号のみ記す。
・水素イオン(1価の陽イオン) - H+
・硫酸イオン(2価の陰イオン) - SO42−
イオンの名称は、陽イオンについては「元素名+イオン」(例:水素イオン)、陰イオンについては「元素名 − 「素」 + 化物イオン」(例:硫化物イオン)と表す。ただし、どちらも例外が多い。原子1個のイオンを単原子イオン、複数の原子で構成されるイオンを多原子イオンと呼ぶ。
また、主なイオンの名称とイオン式を覚えておけば、物質名から化学式がある程度推測できる。
・: NaNO3 → Na+ + NO3−
・:Mg(OH)2 → Mg2+ + 2OH−
◆ イオン化
電荷的に中性な物質が、正または負の電荷をもつ原子あるいは原子団に変化する物理現象を
イオン化 (ionization)、または
電離と呼ぶ。正と負のイオンから構成される
電解質(
塩)の結晶が溶液中で溶解したり、融解したりして正または負のイオンとして個々に振舞うことも電離という。
中性原子がイオン化する場合、原子に属していた1個あるいは数個の電子が他の原子または原子団に移る。このとき、イオンの持つ電荷量は電気素量(すなわち電子の持つ電荷量)の整数倍に等しい。電子を受け取った原子または原子団は負電荷に帯電して陰イオンとなり、電子を放出した方は正電荷に帯電して陽イオンとなる。電子を放出する際には原子核からのクーロン力の束縛から解放される為に、電子は
光子を吸収したり、原子同士の衝突によりエネルギーを受け取って励起される必要がある。逆に電子を受け取る場合は、励起エネルギーの分を放出して安定化する。
一方、原子の方は
電子構造により安定化の度合いが異なるので、励起に必要な
イオン化エネルギーの値や、電子を受けとる際の安定化エネルギーである
電子親和力の値は、元素の種類やイオン化の進行状況の違いによってそれぞれ異なるエネルギー値をとる。一般的には、
電子構造が閉殻やオクテットの構造をとるとき原子は安定化されるので、
典型元素においては価電子が閉殻やオクテットの構造をとることで電子配置的に安定なイオンとなる。例えば、
アルカリ金属はイオン化エネルギーが小さいため陽イオンになりやすく、反対に
ハロゲンや
カルコゲンは陰イオンになりやすい。
あるいは、極性溶媒ではイオンの電荷は溶媒分子を配向させるので(
溶媒和)、気相や非極性溶媒よりも安定化される。あるいは溶媒分子を配位する場合はより安定化する。
◆おもなイオン