アルファ化米 wikipedia|無料辞書
アルファ化米( - かまい)とは、
米飯を炊いた後に
乾燥させたもの。近年ではとして
パッケージ化されたものも販売されている。
形質的に似たものとして、古くは
糒(ほしい・ほしいい:乾飯とも)と呼ばれる
保存食・
非常食も存在する。
◆概要
アルファ化米は、
米の
デンプンが加熱によって糊化(アルファ化)し、
消化・吸収しやすい形になったところで乾燥させた加工米である。米デンプンは加熱前には分子構造の関係で消化が悪く、生の状態の米を食べても消化効率は悪い。このため一旦加熱してアルファ化してやることで、消化に適した状態にして食べる。(
デンプンの項を参照されたし)
しかし保存食・非常食とする場合には、
煮るなり
炊くなり
蒸すなりして
調理した後の米は水分を含んでおり、
腐敗したり
カビが生えてしまいやすく保存性が悪い。また、調理そのものがし難い状況である場合もある。このため加熱調理後に乾燥させたものが糒やアルファ化米と呼ばれる食品で、これに湯や水を加えて柔らかくして食べる。
同様にオートミールにもアルファ化した製品が市販されている。
似たものとして、日本などでは古くより糒の形で水とともに口に含んで
咀嚼する保存食や非常食として、また
ヨーロッパでは
リゾットや
パエリアに使う蒸して乾燥させたものが
食材として存在する。これらは必ずしもアルファ化状態ではないために単に水を注いだだけでは食べにくいが、無理をすれば食べられなくもないことや簡単な調理で食材として利用可能であるため、後述するように長くコメの利用方法の一つとされ続けた。
◇糒
炊いた飯を水で軽くさらしてから天日で乾燥させたもので、古くは炊き過ぎた米を保存するためにも利用された。また、米以外にも
粟や
黍の糒も存在していた。
軍坊令においては、兵士に対して1人あたり糒6斗と塩2升の携帯を義務付けている。また、
倉庫令には稲・穀・粟の保存期間を9年、その他雑穀を2年と規定しているのに対して糒は20年の保存期間が設定されている。実際に現存する
正税帳には糒の項目が記載されている。更に
蝦夷征討に関連して
宝亀11年(
780年)に
坂東諸国と
能登・
越中・
越後の各国に対して糒3万斛の調達を命じている。この他にも
延喜式には、
新嘗祭の供御料や
最勝王経斎会の供養料として
大膳職で作られた糯糒・粟糒が支出される規定がある。また、
伊勢物語の「東下り」の段で
在原業平が糒の上に涙をこぼしてふやけてしまうという場面は良く知られている。
鎌倉時代よりは「糒」の漢字が使われるようになったが、それ以前には「
干し飯」(ほしめし・ほしいい)とも呼ばれていた。
そのまま水といっしょに食べたり、あるいは水を加えて炒めたり、茹でて戻したり、粉末にして
あられや
落雁などの
菓子の材料にも用いられた。和菓子材料の
道明寺粉も餅米の糒である。
◆非常食や保存食として
元々の非常食・保存携行食としての糒(ほしい)は、現代風に言うなら
レーションのような、軍事用の携帯食(
兵糧)などで
戦国時代などに盛んに利用されていた。
忍者などの携帯食にも利用されており、他からの援助が得られない場合などに、水とともに口にして飢えをしのぐために利用されたと伝えられている。
現代のアルファ化米では、上に挙げた食材としての利用の他に、
災害発生時に備えるための非常食としての商品が流通している。また
自衛隊などでも野外での補給用食料に米飯関係を充実させるために、アルファ化米を取り入れる傾向も見られる。
災害はいつ発生するか分からず、これに備えて保存性に優れた食品が求められるほか、大規模な災害時には
ライフライン崩壊など社会整備基盤の水準が急激に低下し、家庭では
コンロや
上水道といった、普段何気なく利用している調理用の設備が利用できなくなることも予測されるため、それらの
食品には、より簡便に調理して口に出来る物が望ましい。
現在流通しているアルファ化米では、この災害用の非常食としてのものが多く見られ、これには湯を注いで20分程度、水を注いでも1時間程度で食べられるものが販売されており、普通に
炊飯器で炊いた米と比べると、飯粒が潰れたり砕けたりしているなど少々見た目は悪いが、湯を使った場合には温かくて味も申し分無い
ご飯が食べられるようになっている。また
容器がそのまま
食器を兼ねている製品も多く、これに
スプーンなどの口にするための使い捨て食器も付随しているものも多い。
なお、これらの食品は乾燥しているため非常に軽量であり、容器は
レトルトパウチなので3年程度の
賞味期限が設定されるなど保存性も高く、また生米を
飯盒炊飯する時と比べ、湯を沸かすだけですむので必要な熱量(=必要な
燃料)も少ない、などの利点が挙げられる。
特にこれらは米飯に対して殊更思い入れの強い
日本人にあっては、長期海外
旅行・
出張などの際に、簡単にホテルの室内などでも米飯が食べられる・持ち運びも便利な商品として愛用者もいる模様である。
また登山食としても愛用されているが、これは前述のように軽量であることから、荷物としての携行が容易であることに加え、山頂では気圧の関係で水の沸点が下がり、米飯を炊くのが困難なためである。
近年の製品の中には、上に挙げたような食のニーズにも関連して、炊き込み御飯(五目飯など)といった発展商品も見られ、これには味付け・乾燥した食材が同じパッケージ内に入れられており、これに湯または水を入れることで、所定の調理時間以降に食べることが出来るようになっている。
おにぎり(
海苔は同梱・食べる前に貼り付ける)のような米飯料理となったものも発売されている。