アネトール (anethole) は
芳香族化合物の一種で、
アニスや
フェンネル、
トウシキミが持つ
甘草のような特有の味の成分である。
trans-アネソール、
p-プロペニルアニソール、アニスカンファー、イソエストラゴール、アニシード油とも呼ばれる。甘草の甘みのもととなっている
グリチルリチンと化学的に関係はない。
IUPAC系統名は
trans-1-メトキシ-4-(プロパ-1-エン-1-イル)ベンゼン
trans-1-methoxy-4-(prop-1-en-1-yl)benzene である。分子内に
エーテル構造を持つ。
室温以下では無色の結晶で、融点は23℃、沸点は234?237℃である。分子式は C
10H
12O と表され、
タラゴンや
バジルに含まれる
エストラゴールの
異性体である。1リットルのエタノールには500ミリリットルのアネトールが溶ける。水には不溶である。アネソールは
砂糖のおよそ13倍ほどの強い甘みを持つ。高濃度であっても不快感をあたえないとされる。
アネソールは咳止め(去痰薬)として作用する。弱い抗生物質としても働く。弱い毒性を持ち、大量に摂取すると有害な作用をもたらすこともあるとされる。ラットを用いた実験では、肝臓の再生能力を活性化させ、高用量では鎮痙薬としても働くと報告されている。アネソールは合成麻薬である
パラメトキシアンフェタミン (
p-methoxyamphetamine, PMA) の前駆体である。PMAは「
エクスタシー」(錠剤型麻薬の総称)として売られることがあり、しばしば死亡事故の原因となっている。