弾性体は弾性範囲内ではかかった力に応じて変形し、かかった力を取り去ればもとの形に戻る。これを応用して、力をかけて変形させ、あるいは変形させることで力を蓄えることができる。このような性質を利用しやすい形にしたのがバネである。たとえば金属の変形幅はそれほど大きくなく、これを細くすれば大きく曲がるものの、今度はたやすく降伏点を超えてしまう。そこで細くしたものを長く使い、これに横からの力をかけながら、しかもその変形方向が一直線上になるようにしたものがコイルバネである。円柱状の螺旋に巻いた金属は、引っ張れば各部分では横からの力で変形するが、その力は全体に均等にかかるので個々の部分ではさほど大きくなりにくい。また各部では横への変形でありながら、全体としては伸縮する方向への長さの変化となるから、機械の部分としても扱いやすい。バネはかりはその伸縮が加重に比例することを利用したものである。
ゼロ長ばね、ゼロ長スプリング、零長スプリング () とは自然長がゼロであるばねを表す用語である。実際にはこのばねは"負の"長さを持ったばねをつなぎ、更に非弾性的な物質で長さを伸ばすことによって実現することができる。"負の"長さを持ったばねとは、ばねが伸びようとするときには互いに押し合うような2つのばねである。
[原文:In practice this is done by combining a spring with "negative" length (in which the coils press together when the spring is relaxed) with an extra length of inelastic material.]このタイプのばねは上下動地震計に用いる目的のため、1932年に
ルシアン・ラコスト[フランス系の人であるため、ラコスト。] ( によって開発された。ばねの先はマス (mass) につながっており、マスはヒンジ (hinge) つきのビーム (Beam) につながっている。ばねによってマスに働く力はの鉛直成分はビームの位置に関わらず、ほぼゼロであるように調整されている。これにより、この装置は非常に長周期の振り子となっている。地震計に長周期の振り子を用いると、地震による非常に速度の遅い波を感知することができる。ラコストのゼロ長ばねは重力の変化に対しても非常に敏感であるため、
重力計にも用いられている(LaCoste重力計)。
ドアクローザーにはゼロ長ばねに近いばねが用いられていることが多く、このためドアが少しだけ開いているときにも閉じる力が生じ、ドアをしっかりと閉める働きをする。